〜波田大和〜
「10月1日の試合映像は1度見ました。多くの方々と同じ印象だと思いますが、なぜ手を出さないのか?なぜ行かないのか?なぜロープに詰めているのに?と自分の中でぐるぐる回っています。そして7ラウンド、8ラウンドと焦った時にはもう遅いというところです。こうして振り返られるのも後になって映像で見たから言えることではありますが。」
「判定コールを聞いている時は2対1に割れて、どういう形になっても、どんくさい内容でも勝ちたかったので。でも相手のパンチも沢山貰ってしまいました。正直なところ練習してきたことが出せたか、出せなかったかの前にアクシデントで完全にパニクってしまい自分をコントロールすることが出来ませんでした。こうしよう、ああしようというプランも全部飛んでしまいました。」
「序盤に鼻を痛めてしまい、今までで経験した事の無い激痛でした。ボクシングをやってれば当然の事と分かってはいましたが激痛が常にあって。翌日に病院へ行ったところ折れていると診断されましたが、試合が終わってしまえば全てたらればになってしまいます。折れてなかったらもっと手が出たのか、とか。」
「敗因ですか?手を出さなければ、攻めなければ勝てないのがボクシングです。もっとプレッシャーを掛けて前に出て攻めて行けていれば、練習では出来ていたフェイントをもっと出していれば、逆に右を突いて距離を取るボクシングをしていれば、そういったバリエーションが自分に足らなかったことは事実です。後から見て、ああ出来た、こう出来たと言ったって実際に出来なかった自分が居る訳で。」
「そういったところを根本から変えて行かないといけないと意識して練習に取り組んでいます。今までと同じように練習していても意味が無いことも分かっているし、トレーナーともしっかり話し合って、自分から意見も出来るようにならないといけないと思っています。ここからどう変えて行くか、考えないといけないことは分かっています。」
「20歳の時に初めて負けて、5年経って負けて。同じことを繰り返さないために今までの形をどう変えて行くか、同じようにシャドーしてミット打って、サンドバッグ打っていても駄目だとは思います。そして手を出すにしても闇雲に出すことだけ練習していても駄目です、一番の敗因は手が出ていないことです。」
「試合を終えて多くの方々から声を掛けて頂きました、心配されるのが一番イヤなことでしたが、序盤から顔が腫れる展開はこれまで無かったんで、観ていた方々も怪我を心配されていたようです。試合が終わって、全員に挨拶も出来ず会場を後にしましたが、聞いたら悔しさで泣いている方も居たそうです。他人のために泣く、感情を出す、そうそう無いはずです。本当に悔しいです。自分が好きで始めたボクシングで多くの方々を巻き込んで、結果が全ての世界で。」
「日本4位に落ちましたがランキングに関しては気にしていません、10位でも強い人はいるはずです。でも勝てば日本タイトルマッチというところまで行って負けて、応援してくれるみんなが期待するところまで行かなきゃいけないという気持ち、使命感があります。多くの方々の応援で挑戦者決定戦まで来て、時間とお金を奪って勝つところを見せることが出来ませんでした。悔しさを忘れずに敗因を生かしてまた頑張ります。」